サンゴ育成のためのいくつかのプログラムでは、育成の初期段階や全段階においてKHを高く維持することを求められます。KHを高くすることで、とりわけSPSのような骨格を持つサンゴの育成を促すことが可能です。

 

しかしその一方、KHを高くすることで、RTNやSTNといった病気を招きやすくすることもわかっています。

 

マリンケアプログラム(MCP)ネタです。

昨日はRedSea コンプリートリーフケアプログラムにおけるstage-1の必要性について考えてみました。
KH12.7を維持するのは諸刃の刃であり、STNやRTNを誘発する可能性があることを考えてみました。
また、比較的大きめの個体が手に入りやすい日本の現状を考えると、危険を冒してまでKHを高くする(ブーストする)必要もないということもあります。
いまはミドリイシのうちでも比較的価格帯が安いミドリイシ(それでも1個体デバスズメ13匹くらいの価格はしますが)で様子を見ているので実験的要素が高いですが、
オーストラリアの個体は一度見てしまうと欲しいと思いますし、実際買ってしまうと思います。
そういう個体を手に入れたあと、STNが原因で個体をダメにしてしまったら悔やみきれないものがあると思います。
そうなると、KHが低い、というか通常の状態で育成するのが一番安全なのではないでしょうか。

(mmcplanningのページより引用)
さて、RCPでは育成段階が4つのステージに分かれていますが、大雑把に分けるとサンゴの育成段階と色揚げ段階の2つの段階に分けることができます。
例えばZEOVitではSPSから褐虫藻を抜くためにZEOSpour2等を使いますが、RCPではそのための薬品というのは存在しません。
したがって、stage-4で色揚げとはなっているものの、常にstage-1から4までの状態を保つことで育成から色揚げまでを連続的に行うことができるようになってます。
前者は硝酸塩を1-2ppm程度でコントロールし、KHを高くキープすることによってサンゴの骨格を太く育てます。
また、カルシウムやマグネシウムも高く保つことで骨格がもろくなるのを防ぎます。
一般的に高KH、高Ca、高pHは共存できないと言われていますが、RCPの添加剤を適切に使うと指示通りの値にすることが可能です。
また、この状態に保つためにはstage-1(カルシウム類のコントロール)、stage-2(栄養塩のコントロール)、stage-3(アミノ酸類の補給)、stage-4(中間元素、微量元素類の補給)すべてを基本的には実施することが必要です。
後者は硝酸塩を低く(0ではない)抑えることでサンゴ内の褐虫藻を減らし、その分必要となる栄養源をアミノ酸類や中間元素、微量元素で補います。
ここでは、stage-1(カルシウム類のコントロール)、stage-2(栄養塩のコントロール)、stage-3(アミノ酸類の補給)、stage-4(中間元素、微量元素類の補給)すべてを実施することが必要です。
具体的には
stage-1のプログラムを用いて硝酸塩が0.25ppm、リン酸塩が0.02ppmになるようにします。
しかし、現実的にはリン酸塩を0.02ppmまで落とすことは難しいことが多いため(また、測定機器の精度を考えると0.1ppmも0.02ppmも検出結果に差がないことが多い)ので、リン酸塩を減らす補助的な添加剤を使うのが良いのではないかと思います。
RCPでは推奨していませんが、たとえばリキッドフォスフェイトリムーバーという製品があり、スキマーを使っているのであれば効果的にリン酸塩を除去することができます。
リキッドフォスフェイトリムーバー60ml(リン酸除去剤 淡水・海水両用)

stage-2のプログラムを用いて色揚げ目的に適切なCa, Mg, KHのレベルに設定します。
Ca:430ppm, Mg:1310ppm, KH:8.2dKHが推奨値です。
これらの値は通常の育成システムと比較しても低いわけでもないので、この値でもサンゴは十分に成長するのだと思います。
stage-3のプログラムを用いて、サンゴが必要とするエネルギーを供給します。
具体的にはリーフエナジーを使います。
色揚げの目的として、stage-4のプログラムを使います。
リーフカラーAからDまでありますが、すべてを添加します。
正確な添加のためにはヨウ素(I、リーフカラーA)、カリウム(K、リーフカラーB)、鉄(Fe、リーフカラーC)のすべてを測定し減った分だけ添加する必要がありますが、簡易的にCaの消費量からリーフカラーの添加量を決めることもできます。
特にリーフカラーのための測定試薬は高価なうえ、試薬を使い切らないうちに消費期限が来てしまう可能性もあるので、トリトンラボなどを使うことも一つかもしれません。
ということで、今後は育成段階から色揚げ段階へとシフトしようとおもいますが、実際問題としては水槽周りの配線類の整理、STNにかかっているサンゴの手当て、Macでの写真取り込み環境の設定もろもろ、やらねばならないことが山積しています。
今週くらいには片付けたいなぁ、というのが希望なのですが目論見どおりゆくでしょうか。