大胆にも、海水魚飼育に関する今年のトレンドを予測してみたいと思います。
まだ海水魚1年ちょっとなのに偉そうですみません。
1)濾過関係

毎日のようにブログに書いているバイオペレット(BP)ですが、これは間違いなくブレイクすると思います。
昨年、一時期流動床フィルタが流行りそうになりましたが、ある時点で勢いを失ってしまいました。
水槽投げ込み型の流動床フィルタまで発売されていましたが、ことしはこれに変わって水槽投げ込みBPフィルタ、もしくは外掛けフィルタと一体になったBPフィルタが出てきそうな感じがします。
ただ、この製品が実用化されても世界展開は難しいと思います。
よく、「海外は海水魚飼育に使える水の調達が難しい上、人工海水も高い」と言われていますが、ZEOvit発売元のKorallen-Zuchtが運営しているフォーラム(英語)を見ると、そんな噂は信じられなくなってきます。
海水が250と書いてあるので「リットル」かと思えば「ガロン」ですからね。USかUKかで1ガロンの容積は異なりますが、リッターを4倍すればほぼガロンなので、1000リットル水槽ってことです。250ガロンより少ない水量で飼育している人の質問はみたことがありません。
話を戻しましょう。
個人的には、カミハタの海道河童(プロテインスキマー+濾過フィルタ)にBPリアクタが加わればちょうど良い感じだと思います。
60センチ水槽程度であれば、必要となるBPはひとつかみ程度なので、小型化はそんなに難しくないと思います。
2)照明

メタハラがLEDに取って代わられるのはもう時間の問題だと思います。
ただし、まだ誰一人として40,000時間問題なく点灯しているLEDそのものをみたことがないですしね(4万時間といえば、4年と半年です)。
100年プリントが100年待たずに色あせたように、LEDがすぐ切れてしまうようであれば、信用はがた落ちすると思います。
Maxspect(日本での代理店はオーシャンアース)のMAX-Sシリーズのように、球を交換できるのであればまだしも、交換できないような照明はいずれ無くなるか、とんでもなく高価になると思います。
最近、LED式信号機が急速に普及してきましたが、普及に時間がかかったのは「価格の問題」だと思っています。
本来、LEDは同じロット(生産単位)であっても明るさ(輝度)にばらつきがあるのが普通です。
LED式の看板をみると、個々の素子の色合いが微妙に異なるのに気づくと思います。
信号機のLEDは輝度が完全にそろっていますが、それはたくさん作った中から色のばらつきが少ない物を選択しているからだ、と聞いています。それゆえ、信号機用LEDは高価ということらしいです。
アクアリウム用だと多少輝度にばらつきがあっても問題ないですが、光らなくなった素子を交換できないようだと悲しいですよね。
従って、素子は交換可能型が主流になると思います。
また、従来の発想にとらわれない、新しい色味の組み合わせも出てくると思います。
先ほど例に挙げたMAX-Sシリーズですが、白や青のみでなく、シアン、オレンジ、アンバー、UVなど様々な交換素子を作っています(カスタムメイドも可能)。
オーシャンアースがコーラルフィッシュやインテリアアクアリウムに載せている広告では、各素子の光スペクトル分布(どの色がどの程度含まれているか)のグラフまで載せています。
一方、海洋生物学の世界では、サンゴの生息や色揚げに必要な波長というのが既に研究されているので、ある程度思ったように色揚げできる色の組み合わせは今年中には判明すると思います。
いずれにせよ、今は雨後の竹の子のように様々なメーカーがLED照明を作っていますが、粗悪な商品はすぐに市場から排除されると思います。心配なのは、粗悪な物があまりにも多すぎてLED照明そのものの信頼性が揺らぐことが一番心配ですが...
3)人工海水

BPが主流になってくると、当然のことながら換水の頻度も少なくすることができます。
ただし、主要元素や微量元素は減り続けるわけなので、各種エレメントで補充する必要があります。
しかし、エレメント単体が人工海水と比較して相対的に高くみえるので、BPが流行ったとしても添加剤の売り上げはさほど伸びないと思います。
一方、人工海水のメーカーは塩が売れなくなるとこまるので、BPに適した人工海水を作り始めると思います。BPを使いつつ、2週間に1回程度の換水を併用することで、いままで外掛けフィルタではなかなか維持が難しかったサンゴの飼育もできるようになってくるのではないでしょうか。
4)サンゴ

サンゴに流行がないようでも、いろいろとショップ巡りしていると、やはりトレンドがあることに気づきます。
一昨年の後半はハナガササンゴ、正確にはコモチハナガササンゴが人気でした。その後ショートポリプのハナガササンゴの流通量が多くなり、その流れでアワサンゴに人気が集中しました。
当時は5~6000円くらいだったコモチハナガササンゴは、いまでは2000円くらいで販売されています。
アワサンゴやハナガサ(ポリプが短いもの)はまだ値崩れしていませんが、人気は一時期ほどではないようです。
今年は何が流行るのか...個人的にはウミアザミの流通量が増えてくれるとうれしいと思います。
BPで水質が向上すると、ウミアザミのようなミドリイシ以上に水質に敏感なソフトコーラルの長期飼育が可能になります。とくに触手をパクパクさせるチガイウミアザミの集団がパクパクしているのを見ると、一種の達成感が生まれてきます。
ウミアザミは環境が良ければ増殖しますから、ブリード物があってもおかしくないと思います(聞いたことが無いだけで実際は存在するかもしれません)。ウミアザミもたくさん種類がありますから(詳しくはマリンアクアリストNo58を見てください)、コレクション性も高いと思います。
マリンアクアリスト NO.58 2011年 1月号/著者不明

¥1,280
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ちなみに、マリンアクアリストNo58は、個人的には必携だと思います。
すべてのサンゴについて網羅しているわけではありませんが、むしろ種類を絞った上で、その種の多様性を調べている点が特に興味深いです。ちなみに、この本は深場ミドリイシのA. Jaquelineaeを「ジャクリネア」と正しい読み方で紹介(多くの人は「ジャクライン」「ジャクリーン」と読み間違えている)しているのも好印象です(「ランブレリ」もランレブリと読み間違っているひとが多い...)。
さてさて、気ままに書かせてもらいましたが、この一年でどれだけ変化するのか楽しみです。
なんだか中途半端ですみません。