ビブリオ菌由来のRTNの進行が収まり、新しいミドリイシをいくつか追加してみて異常がなかったことから、再びZEOvitの通常サイクルを再開しました。
通常サイクルというのは
・ZEObak(バクテリア)
・ZEOfood7(バクテリアやSPSの餌)
・ZEOstart3(炭素源)
の3つを、規定量に従って滴下することです。
しかし残念なことに、ふたたびRTNの発生、つまりビブリオ菌の再繁殖が始まったようです。
なぜそのような現象が起きたのか、検証してみたいと思います。
ビブリオ菌も硝化細菌も、生命を維持していくためにはエネルギー源と炭素源が必要となります。
エネルギー源としては、光(光合成)や化学合成物(PAO:ポリリン酸蓄積細菌のようなリン酸をエネルギーにするもの)の2つがあります。
一方、炭素源としては炭素を何らかの形で含んでいる物質(CO2もしくは有機物を含んでいる物質)や混合栄養(炭素源が含まれている物質)があります。
ZEOvitで供給されるバクテリアはこれら2つの栄養源を用いて生命を維持していますが、ビブリオ菌もやはりエネルギー源と炭素源を使うことによって生命を維持します。
ドクターラボを用いることによって、ビブリオ菌によるRTNの進行は食い止めることができました。
ビブリオ菌を培養して存在の有無を確認することもできますが、ホビーレベルでは難しいので、新しいミドリイシ(ワイルド物、ブリードもの)を水槽に入れ、RTNが発生しないことを確かめて、ビブリオ菌の異常繁殖が食い止められたと判断しました。
その後、再びZEOvitのガイドに従いバクテリア投入と炭素源を投入を行ったのですが、やはりというか、残念というか、再びビブリオ菌が優勢になってようです。
ドクターラボですが、ビブリオ菌はもちろん、硝化細菌や反硝化細菌(シュードモナス族、ニトロソモナス族の各細菌、およびPAO)まですべて殺してしまいます。したがって、硝化細菌や反硝化細菌もZEObakと炭素源を用いることで再び活性化させなければなりませんが、ビブリオ菌も活性化してしまったようです。
再びドクターラボを水槽に入れ、ビブリオ菌の繁殖を食い止めているところです。
ZEOvitで水槽崩壊した、という話はよく聞きますが、崩壊要因の一つは、炭素源の供給だと思っています。
炭素源の供給で硝化細菌や反硝化細菌を培養するわけですが、ビブリオ菌やエロモナス菌も炭素源をエネルギーとして利用します。
もちろん、余分な投与を防止するため、ZEOvitのガイドラインでは、100リットルの水槽に1回
0.2ml、合計で0.4ml投与することと定められています。
0.4mlというと、かなり少ない量です。スポイトを使って計測しない限り、正確には測れないと思います。
しかし、規定量の添加でもビブリオ菌が繁殖するようだと、炭素源の供給はストップするしかありません。
ではどうすればよいのか。
僕は、硝化細菌や反硝化細菌の繁殖はバイオペレットに任せて、炭素源、すなわちZEOstartの添加をやめればいいと考えています。
バイオペレット自身炭素源ですので、ドクターラボを使っている間もきちんと硝酸塩がゼロになり、アンモニアや亜硝酸が出ていなければ問題ないと思います。
鉱石としてのZEOvitですが、これはアンモニアの吸着剤としてのこしておけばいいと思います。
ガイドラインにには明確に書かれていませんが、ZEOvitの目的は2つあると考えています。
一つは、栄養塩、つまり硝酸塩とリン酸塩のを極限まで減らすことです。
二つ目は、ZEOspurをつかい褐虫藻の量をコントロールしつつ、その他の添加剤と組み合わせて色揚げを行うことです。
ZEOvitというと後者だけ注目されがちですが、前者も目標の一つです。
しかし、炭素源の投入がビブリオ菌の繁殖につながるようであれば、それはバイオペレットのような製品に任さればよいと思っています。
ビブリオ菌が再発生したというのは大変残念ですが、低栄養塩(ULNS)環境の実現はほかの手段でも可能なので、今後はそれを探ってゆきたいと思います。
ZEOvit:炭素源投入のリスク
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