2010年夏、僕が海水魚を開始し始めたことと比較すると、いまはさまざまな飼育方法があります。しかし、それらのいくつかは革新すぎて確定した飼育方法がまだ見つかってないものもあります。あるいは、英語で調べれば情報は山のように出てくるのですが、言葉の壁ゆえにガラパゴス化された部分もあるようです。
ちょっと振り返ってみたいと思います。
【2010年9月 60センチ水槽に上部濾過】
この頃は「水つくり」が非常に重要な時期でした。人工海水を作り、濾過装置を取り付け、バクテリアを入れ、水を回し始めます。
このころは、安定した海水ができるのに一か月かかるというのが常識でした。
実際、シュードモナス、ニトロソモナスに属する各硝化細菌は二分裂するのに非常に時間がかかり、水槽からアンモニアが検出されなくなるまでに一か月ほどかかりました。
欠点は、たまってゆく硝酸塩は換水で薄めるしかないこと。
あるいは、AZ-NO3を使って、反硝化細菌を培養するという方法もありました。
照明が蛍光灯レベル、後半ではLEDでしたが、コケに悩まされた記憶はあまりありません。
【2011年2月 流動濾過】
最近めっきり聞かなくなりましたが、この頃は流動濾過が流行りました。
最終生成物は硝酸塩であることには違いないのですが、アンモニアから硝酸塩までの硝化スピードが今までよりも早く、かつ安定していました。
この頃は、90センチオーバーフロー水槽に、濾材と流動濾過方式を中心とした濾過装置を取り付け、かつ2日に一回40リットルの換水を行うことで大量のミドリイシをキープすることができていました。
コケについては一週間掃除しなかったらガラス面がコケでびっしりとおおわれていましたが、ライブロックにはそれほどコケはついていた記憶はありません。
シアノバクテリアやRTNに悩まされることもなく、この時期がサンゴの飼育には一番安定していた時期でした。
ちなみに、照明はLED中心です。
【2011年8月 ZEOvit】
非常に調子のよかった水槽なのですが、ちょっとした事故でトラブルが生じてしまいました。
その時、ちょうど盛り上がりを見せていたZEOvitが目に留まり、それに挑戦してみることにしました。
ZEOvitでの硝化サイクルは2つあり、一つはゼオライトによるアンモニウムイオンの吸着、もう一つはZEObacでの硝化作用です。
同時に、ZEOvitでは反硝化、つまり硝酸塩を窒素にしたり、リン酸をPAO(ポリリン酸吸着細菌)に食べさせることまでやろうという夢のようなシステムでした。
しかし、これはなかなかうまくゆきませんでした。
一つは、マニュアル記載の単位系と日本での単位系が異なることによる各種薬剤の添加ミス、もう一つは「過去の機材をなるべく流用しよう」とするよくばりによるミスです。
たぶん、ZEOvitは本当に初めて始める人は成功するんだと思います。
中途半端にかじってしまうと、ああ、あれを再利用したいとか、これを再利用したいとかいう邪念に取りつかれて中途半端になってしまいます。
シアノバクテリアとの戦いも結構大変なものでした。
こいつがシアノバクテリアか~とおもったのもつい最近です。
ちなみに、このシステムは3月11日の震災でダメになってしまいました。
【2012年1月~ バイオペレット】
ZEOvitとほぼ同時にバイオペレットが流行っていたのでこちらも挑戦していました。
ペレットがきれいに流動するためのリアクタを作るのには苦労しましたが、専用リアクタを使うときれいに回るのには感激しました。
また、硝酸についてはかなりの高濃度であってもほんの2日で消えてしまったことに驚きを隠せませんでした。
しかし、ZEOvit同様、もう一つの特徴であるリン酸塩の消費については実現できませんでした。
また、このシステムもシアノバクテリアを誘発しやすいようです。
昨晩から真面目に調べ始めましたが、バイオペレットは高KH(アメリカではhigh alk)の環境ではシアノバクテリアやRTNを引き起こす原因となるようです。
日本では噂程度ですが、アメリカのフォーラムを真面目に追って行けば解答が見つかるかもしれません。
答えはない、というのがこの世界の常識であり面白い点でしょうが、やはりある程度は結論を知っておいた方がよさそうなので、ここ数日はちょっと真面目に調べものをしているところです。