こんばんは。
例によって余談から。
昨年度末から再開したヤフーオークションへの出品ですが、いまは鉄道模型月間ということで手持ちの車両(Nゲージですが)をすべて放出しております。車両の出品は一通りおわったので、次はレールやストラクチャを出品したいと思います。
興味のある方は、是非ご参加ください!
さて、ひでさんから課題をいただきました。
ビブリオ菌と戦うにあたって、現状の改善の試みるのか、それともリセットか。
コストの計算はなかなか難しいところですが、良い機会なので検証してみることにしました。
まず、ビブリオ菌の特徴から。
ビブリオ菌は
・魚経由の代表的な食中毒菌である
・真水に弱い(ほぼ瞬時に死ぬ)一方、海水には強い
・15℃以下の水温では活動が鈍くなる一方、砂地に潜って生命活動を維持する
・分裂周期が10分である
・天然海水には常在している
という特徴があります。
通常は、シュードモナス、ニトロソモナスといった硝化細菌のほうが優勢な立場にあるため、ビブリオ菌が大繁殖することはありません。
また、「魚は硝酸塩が検出されてから」と言われるのも、魚についてきたビブリオ菌の繁殖を防ぐための意味があると思われます。分裂周期が10分のビブリオ菌に対して、硝化細菌は分裂周期が24時間から48時間必要です。
一方、細菌はAZ-NO3のほか、ZEOvitのZEOstart3、VSVメソッドの砂糖、バイオペレットの生分解プラスチックなど、ビブリオ菌を始めとする、いわゆる悪玉菌の栄養にもなる添加剤がはやっていますので、扱いを一歩間違えば水槽内の善玉バクテリアが一気に劣勢になる危険性もあります。
さて、一度優性になったビブリオ菌を劣勢にするにはどうすれば良いか。
考えられる候補は以下の通りです。
1)通常、RTNなどビブリオ菌由来の病気は2~3ヶ月で収束するようなので、それを待つ。
2)アクアギークのPMF(Probiotec Marine Formular)や、善玉菌の類を連続投与し数の力で圧倒する
3)殺菌灯を再度取り付け、地道に除菌する。バイオペレットは定期的に水道水で洗い、殺菌する
4)リセットする
今回は4)の「リセットする」ことに必要なコストを考えてみたいと思います。
リセットに必要なのは
1)新しい砂
2)キュアリングされたライブロック
3)200リットルの海水
4)優秀なバクテリア
5)魚の待避場所
6)サンゴ類の待避場所
となります。
1)についてはバクテリア付きの砂や、ZEOvit向けにふつうのサンゴ砂を約30kg準備すれば良いので問題ありません。
3)は現在農業用ポリタンクを持っており、200リットルの海水であれば一昼夜あれば作成できるのでこれもクリア。
4)はZEOvitのZEObakかシーケムのスタビリティがあるので問題なし。
しかし、2)、5)、6)については問題を抱えています。
2)のライブロック。
現在のライブロックを使うのであればRO水に付け、ビブリオ菌を壊滅させる必要があります。
また、同時に死んでしまう微生物類もあるので、キュアリングが必要になります。
そうでなくても、ライブロックはサンゴよりも「腐りやすい」ので、水槽その他の器具を洗浄している間の保管状態が重要になってきます。
新しいライブロックを調達するとなるとざっと13~15kgくらいは使います。
金額は別にしたとしても、新しいライブロックでレイアウトをくむとなれば、それだけで数時間は必要です。
13kgのライブロックを集めるとなると、よほど運が良くない限り1カ所では集まりません。
過去も3カ所まわってやっと15kg集めたくらいですので、収集に半日は必要です。
その間、ライブロックは通常空気にさらされた状態になっているので、時間の経過とともに腐敗も進みます。かなり慎重な輸送計画が必要です。
水槽を洗浄し、砂を敷き、海水を入れ、とりあえずライブロックを入れるのに最短で2日は見ておく必要があります。
5)の魚の待避場所も問題です。
昨年の6月にリセットした際は、魚がほぼ全滅したため、魚の待避場所については心配がいりませんでした。
しかし、現在の水槽内における魚のバランスはかなり絶妙かつ最高の状態なので、本音としては手を入れたくありません。
しかし、仮にリセットするとなると、待避場所が必要です。
魚水槽を持っていますが、ここにサンゴ水槽の魚を入れることは現実的ではありません。
一番の理由は、サンゴ水槽に入っている魚の種類と数です。
多い順に(コケ取り貝を除く)
1)デバスズメダイ15尾
2)ケラマハナダイ4尾
3)バートレットアンティアス3尾
4)インドキンギョハナダイ2尾
5)ナミスズメ2尾
6)ペルクラクラウン2尾
7)スカンクシュリンプ2尾
8)レタススラッグ2匹
9)小型ヤッコ類(チェルブ、フレーム、マルチカラー、ルリ、ポッターズ各1尾)
10)マンジュウイシモチ1尾
11)ホンソメワケベラ1尾
12)ホワイトソックス1尾
13)ハタタテネジリンボウ1尾
14)ランドールピストルシュリンプ1尾
15)ハタタテハゼ1尾
と、15種42尾も魚が入っています。また、これ以外にハタゴイソギンチャクもあります。
これらの数を魚水槽に待避させることは困難です。
仮に水槽を新しく準備できたとしても、再度水槽に入れた際は縄張り争いが再発し、3割くらいの魚が死んでしまうと思われます。
また、ハタゴイソギンチャクも過去最高の状態で維持できていますので、あまり移動させたくありません。
縄張りについては時間をかけて作らせる必要があるので、リセットにはそれなりの覚悟が必要となるでしょう。
6)のサンゴの待避場所も同様です。
ソフトコーラルはほとんどビブリオ菌にやられているので廃棄するとして、なぜかRTNを発症しないミドリイシがいくつかありますが、新しい水槽にいれた途端、白化する可能性が高いと思われます。あるいは、仮水槽で白化する可能性もあるでしょう。
実際、海水だけのリセットを実施した時でも次の日には白化するくらい、ミドリイシは敏感なので、水槽リセットはミドリイシがダメになることを覚悟して行う必要があると思います。実際、6月のリセットでは多くのミドリイシがリセット後に白化しました。
ショップによっては、ミドリイシが入っている水槽を完全にリセットした例もあるようですが、あれはミドリイシ専用の水槽であり、生体ははいっていてもごくわずかであり、バクテリアのバランスを除けば栄養塩量はリセットの前後で変化しない状態だと思われます。
ショップによっては、ミドリイシ水槽をリセットする時はすべて売り尽くすこともあるくらいですので、はやり白化の可能性は否定できません。
では、結論はどうなるかと言いますと、リセットにかかる苦労と上記のリスクを考えると、リセットせずに善玉バクテリアが優勢になるのを待つ、あるいは考え出す方が労苦が少ないと思われます。
ということで、今回はリセットせずに対処療法的に様々な手を打つことで対処したいと思います。
ZEOvitのために殺菌灯は抜いていたのですが、配管に連結するための部品が明日手に入ります。
もちろん、殺菌灯がビブリオ菌に対してどの程度有効かは調べておく必要があるでしょう。
本当は、ビブリオ菌がどの程度繁殖しているのか調べる方法があって、その結果を見ながら対策を考えるのが科学的であり、現実的な方法です。
菌を培養するための寒天培地は割合簡単に手に入りますが、35℃で24時間菌を培養するための恒温槽はありませんし(ヘルシオのイースト菌発酵機能を使う手もありますが...)、ビブリオ菌を判別するために必要となる顕微鏡なども持ち合わせていません。
いまは無理でも、安価にかつ簡単にビブリオ菌の存在を確かめるキットが出てくるのを期待するのみです。
実は、人間用の整腸剤を水槽に入れるという作戦は試しています。
いわゆる善玉菌を入れてしまうわけです。
ライブロック表面のコケが減るなど、それなりの効果は見られるのですが、まだ決定的ではありません。
一部の情報では、ビブリオ菌は酢酸に弱いという話もあります。
ならばVSVメソッドを応用する作戦もあると思いますが、一度に投与できる酢酸の量とそれで死滅するビブリオ菌の数、そして次に酢酸を投与できるまでの期間を計算にいれるとあまり現実的ではありません。
しかし、いろいろな方から情報を頂きつつ、同時に自分で調べてみると、理屈にかなった解決方法が見つかりそうな気配がしてきました。
RTNにかかった、という話はWebでも良く見られますが、解決方法については情報は皆無に等しいのが現実です。
現状を維持しつつ、ビブリオ菌を劣勢にもってゆくことができる安全な方法が見つけられるよう、もう少し知恵を絞ってみたいと思います。