こちらはZEOvit検証の記事です。
混泳水槽と脱膣可能な濾剤マトリックスの性能検証についてはこちらをご覧ください。
ZEOvit systemを使い始めて10日目になりましたが、これまでの成果を簡単に書いてみますと
改善点としては
●基本的にバクテリアのみの添加だが、ハイマツの一部がパステルカラー化を始めている。
●ミドリイシの成長スピードが目に見てわかる個体がある。たとえばエダコモンやトゲホソエダ。
●Coral Snow と ZEObak との組み合わせにより、シアノバクテリアの繁殖スピードが遅くなった。
などがあります。
問題点としては、
●リン酸塩、硝酸塩の値が増加している。
●その結果、コイボ、ルピナス、ハイマツと3つのミドリイシの共肉が一部、もしくはすべて剥がれ落ちた。
●ZEOspur2の添加量が間違っていた
などがあります。
まずは、この3日間の数値の変化をご覧ください。
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計測項目 8日目 9日目 10日目 pH 7.74 7.77 7.82 KH(dKH) 7 7 8 Ca(ppm) 400 400 400 Mg(ppm) 1040 1000 NO3(ppm) 20 10 10 PO4(ppm) 0.64 0.68 0.71 |
Mgですが、9日目に計測した時点では1040ppmでした。6日目の時点では1240ppmでしたので、相当な消費量です。カルシウムリアクタにはセカンドステージを取り付け、その中にマグネシウムメディアを入れていますが、それからの供給量を超えた消費が行われているようです。
この点については後ほど検証しますが、9日目、10日目と連続した2日間で計測してほぼ同じ値を指したことから、計測ミスではなく、マグネシウムが大量に消費されていると考えられます。現時点ではセカンドリアクターの容量を増やすことは出来ないため、不足分についてはブライトウェルの添加剤(マグネシオン)を使って補うことにしました。
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硝酸塩(NO3)ですが、8日目で20ppmに達しました。
ZEObakやZEOvit(ゼオライト鉱石)には硝化作用はもちろん、反硝化作用もあるので硝酸塩は横ばい、条件が合えば減少に転じるはずですが、増加を続けています。
さすがにこのままではミドリイシに悪影響を与えるという判断で8日目の計測後に20リットル、9日目の計測前に40リットルの換水を行い、硝酸塩を低下させました。
リン酸塩(PO4)については、ハンナの計測器が戻ってきたので毎日計測しています。
微量の増加を計測していますが、誤差の範囲かもしれません。しかし、増加傾向にあることには間違いありません。
ZEOvit system 構築の初期で期待される”栄養塩の低下”や”リン酸塩の低下”がなぜ起きていないのかについても、後半で検証したいと思います。
1)濾過方式とバクテリア、および炭素源に関する考察
稼働中のシステムに導入するよりも、一からシステムを立ち上げる方が成功率が高いと言われているZEOvitですが、水槽の数や自分が目指す目的からかんがえて、現在稼働しているミドリイシ水槽でテストしてみることを選択しました。
そのとき疑問に思ったのが「濾過方式」です。
ドライ+ウェット+スキマー、それに大量換水のいわゆる日本方式のベルリンなのですが、ウェット槽に入れているろ材を抜くかどうか始めに迷いました。
ろ材といっても、バイコムのバフィーとウォーターエンジニアリングのリバースグレインだけなので、どちらかというと物理濾過よりも生物濾過に近いシステムになっています。
ZEOvitのガイドライン、またWebで調べた水槽のいずれにおいても濾過槽に関する説明や指摘はありませんでした。そこで、最初の一週間はろ材を残したままZEOvitを試してみることにしました。
結果は堂だったかというと、アンモニアは硝酸塩へと処理されたが、ZEObakやゼオライトで期待された反硝化作用は見られませんでした。むしろ、硝酸塩は蓄積し、一部のミドリイシが白化するという状態になってしまいました。
ただし、ここにはZEOstart2の過剰投与によるビブリオ菌の繁殖とそれに伴うRTNの発生も否定することは出来ません。ガイドラインでは、栄養塩が高い状態の水槽では1000リットルあたり2mlのZEOstart2を投入することになっています。したがって一般的な90センチのオーバーフローでは、0.4mlが適切な投与量ということになります。一方、ゼロから立ち上げる水槽の場合は、最初の2~3日は100リットルあたり5mlと書いてあります。
この部分を僕は原典を確認しないまま誤植と判断し、200リットルの水槽に4mlのZEOstart2を投与していました。
この過剰投与が原因でRTNが原因の白化が起こったことも否定出来ません。
ミドリイシの白化がビブリオ菌の繁殖が原因なのか、それとも栄養塩の蓄積が原因なのかはわかりませんが、いずれにしても添加剤の添加量と濾過方式に問題があったことには違いありません。
濾過方式の問題とは、ろ材を用いたことによるアンモニウムイオンの減少が考えられます。
僕の環境ではZEOvitリアクターとZEOvit(ゼオライト鉱石)を用いて反硝化作用を促進させる予定でしたが、数値上は硝酸塩が蓄積する方向へと進んでしまいました。
本当はゼオライトの表面に作られたアンモニア酸化細菌によるバクテリアフィルムができるはずですが、おそらく充分な量のバクテリアフィルムが出来ていなかったと推測されます。
その理由として、リアクターの前段にあるウェット槽での生物濾過によって、アンモニアが亜硝酸に変化したため、ゼオライトが吸収すべきアンモニアが充分では無かったのではないかと推測しています。
ゼオライトは負に帯電するため、陰イオンである亜硝酸NO2-や硝酸塩NO3-は寄せ付けません。つまり、ゼオライトは硝酸イオンを処理することは出来ないのです。一方、陽イオンであるNH4+のみが、ゼオライトに吸着され、その表面でアンモニア酸化作用など一連の作用に影響を及ぼすことが可能と言われています。
これらの考察やZEOvitフォーラムでの議論、ZEOvitに関する考察記事から思いついたのが、「ろ材の撤去」すなわち、純粋なベルリン方式へシステムを変更することです。
ろ材ですが、土曜日の昼に抜き、サンプ内に舞ったデタトリス混じりの海水を新鮮な海水に交換し、運用を再開しました。
もしこの考察が正しければ、少しずつ硝酸塩が減ってゆくはずですし、ZEOvitリアクターをポンピングする際に生じるムラムの量も増えるはずです。
この問題に対する解決法として、Web上やZEOvitフォーラムではAZ-NO3、つまり反硝化菌に食べさせる炭素源を追加投与するアイデアも出ていますが、まずはろ材の撤去による数値の変化を確かめてみたいと思います。
2)マグネシウムの大量消費について
ZEOvit開始時のマグネシウム量を計っていなかったのは失敗ですが、ここ数日の経過を見る限り、マグネシウムは確実に消費されています。
では、何によって消費されているかというと、一つはゼオライトによる吸着(マグネシウムは陰イオンのため)、もう一つはポリリン酸蓄積菌による吸収です。
カルシウムリアクターにはセカンドステージを取り付け、底にはマグネシウムメディアを詰め込んでいます(以下、マグネシウムリアクター)。従って、CO2の添加によってpHが下がった排水をマグネシウムリアクターに通すことでマグネシウムはイオンの状態となり排水に加わり、同時にpHは上昇するはずです。
ZEOvit開始前の状況では、Ca:Mg比は一般的は比率であり1:3であり、おおよそ400ppm:1150ppm付近になっていました。それが現在では400ppm:1000ppmになっていると言うことは、やはりゼオライトやポリリン酸蓄積菌によるマグネシウムの消費に理由がありそうです。一方、ポリリン酸蓄積菌はある程度マグネシウムの濃度が保たれた環境でのみ働くといわれています。では、濃度としての下限はどの程度なのかについて議論された記事などは見つけることが出来ませんでしたが、少なくとも1200ppm以上には保たなければならないようです。
マグネシウムリアクターで足りない分については、添加剤で補うしかありません。実際、ZEOvitの利用者には、システムとして提供している添加剤の他に、マグネシウムやカリウムを独自に添加している方もいらっしゃいます。従って、マグネシウムの計測は定期的に行い、必要であれば日々の添加量を計算し定期的に添加したいと思います。
3)まとめ
反硝化作用については、ZEOvit(ゼオライト鉱石)がなくてもZEObakとZEOstart2だけでも行えるので、硝酸の蓄積をろ材の有無だけで片付けるのは強引とも言えますが、まず考えられる理由の一つとしてろ材の存在があったので、撤去し今後の数値の変化を観察してゆきたいと思います。
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ZEOvit大流行でしょうか(≡^∇^≡)SHOP回りしているとどこでもその話題、器材でいっぱいですね
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>ひでさん
比較的一般に知られるようになったのは去年くらいからですね。
ただ、運用が難しいのと日本語による解説がすくないので、大流行するかどうかは疑問です。日本人もマメですが、それ以上にマメなドイツ人が作ったシステムですから...
まず最初の「超低栄養塩(ULNS) 」状態に持ち込む段階が上手く行けば、あとはスムーズに進むのだと思っています。逆に、バイオペレットなどの新しいULNSシステムで栄養塩を減らし、ZEOvitのZEOspur2などで褐中藻をコントロールするという組み合わせが出てくるのではないかと思います。