こんばんは。
今日はZEOvit環境へ移行するための準備(後編)です。
ZEOvit環境の準備ですが、どんなに急いでも2日かかります。
その理由は、活性炭の洗浄に24時間かかるからです。
また、ZEOvitリアクタに流入させる水量も、指示に従って調整する必要があります。
たとえば、うちの水槽の場合は1リットルのZEOvit(ゼオライト鉱石)に対して200-230リットル毎時の水量でリアクタに給水します。一方、リアクタに付いてきたポンプはエーハイムの compact1000 ですが、これは無負荷時で150-1000リットル毎時の送水能力があります。もちろん、ZEOvitによる抵抗やリアクタ内部の配管で流量は落ちるので、1000リットル毎時という供給能力は落ちますが、それでもきちんと調整しないとゼオライト鉱石の表面にできるムラムの生成を妨げます。
また、リアクタ本体には相当量(4-10リットル程度)の海水が常時流れることになります。従って、サンプの水位を下げないためにも、追加する海水をあらかじめ準備しておく必要があります。
従って、ZEOvitリアクタを設置する際には事前の準備とその計画が重要となります。
ここでは、それも含めて説明したいと思います。
ZEOvitのスタート、特に超貧栄養状態を作り出すためには、ざっと次のような手順で作業を行う必要があります。

1) マニュアルの理解
2) RO/DI水の準備
3) 活性炭の湯通し
4) リアクターの組み立てと設置
5) ZEOvit(ゼオライト鉱石)の投入と水流、水量の調整
6) 運用計画

では、順を追って説明してゆきたいと思います。
1) マニュアルの理解

まずは、ZEOvitのガイドラインを入手し、全体の流れを理解する必要があります。ZEOvitを用いた水質の管理は決して特別なものではありませんが、準備段階においては決められた手順で作業を行う必要があると感じています。英語のマニュアルであれば独korallen zuchtのWebページから入手できますが、日本語版に関してはLSS研究所のページから申し込んで入手してください。
マニュアル本体は34ページ程度ですので読み通すだけであれば1時間もかかりませんが、数字で具体的に添加剤の使用量などを示している所がありますので、そのような点を抑えておく必要があります。
また、特に新規立ち上げ水槽の場合は「ライブサンドを使わない」「サンゴ砂はリン酸が確認できなくなるまで水に浸し、2日に1回換水する」など、気の遠くなるような話が突然出てきますので、あらかじめそのような点も抑えておくと良いと思います。

2) RO/DI水の準備

ZEOvitの準備においては、ZEOvitや活性炭、リアクタの洗浄などにRO水を使いますので、10~20リットルほどあらかじめ準備しておくと便利です。
うちではアクアトロニカのセンサを洗浄したりと結構使うため、20リットルほど準備しておきました。
余れば足し水タンクに補給します。

3) 活性炭の湯通し

一口に活性炭といっても様々なメーカから様々な種類の活性炭が出ていますが、ZEOvitでは純正品(Aktivkhole)を使うことを推奨しています。
純正の活性炭は1000ml単位で販売されています(カタログより)。
これを、自分の水槽の環境に合わせて計量して使います。
小さな動物園-活性炭
▲活性炭ひと袋
今回の水槽は「高栄養塩状態」の水槽です。
従って、総水量1000リットルあたり0.5-1リットルの活性炭を使うことになります。
ちなみに、計量するときには「量」で計るよりも「重さ」で計った方が楽なので、うちではまず活性炭1000mlの重さを量り、そこから水量180リットルに必要な分の活性炭を計算し、計量しました。
小さな動物園-活性炭一袋513グラム
▲活性炭全体の計量。今回はひと袋513グラム。
次に、活性炭をネットに入れます。
カミハタの吸着材にはネットが入っていますが、ZEOvitの活性炭にはネットが入っていないので、あらかじめ準備しておく必要があります。
小さな動物園-活性炭袋詰め
▲活性炭の袋詰め

うちで利用したのはバイオネットの細目の商品です。
細目であればどこの商品でもかまいませんが、袋ごと熱湯に入れるため、ナイロン製のネットが良いと思います。
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活性炭をネットに入れたら、次は90度まで加熱したRO/DI水を準備し、その中にネットごと浸します。
24時間経過したら取り出し、新しいRO/DI水ですすぎ、細かい破片を洗い流します。
小さな動物園-活性炭湯通し
▲活性炭の湯通し。念のため使う道具は捨てても困らないものを使いましょう。

活性炭の設置場所については特に指示はありません。
一例として、リアクタ内部に活性炭を設置する例が紹介されているので、この方法を採用したいと思います。
順番は特に書いてありませんが、ゼオライト鉱石からはがれたムラムを水槽に効率よく流すためにも、最初に活性炭、その上にゼオライト鉱石を置くのが良いのではないかと思います。

4) リアクターの組み立てと設置

リアクタを組み立てます。
うちではREEF OCTOPUSブランドでインサンプ型の RF-120 を選択しました。
小さな動物園-RF-120
▲ZEOvit用リアクタ RF-120(REEF OCTOPUS)

小さな動物園-パッキン
▲リアクタのアップ。開閉部はネジ式ではなく、パッキン式になっている。

400リットル以下の水槽用で、エーハイムの水中ポンプ Compact 1000が付いてきます。
一番小さいリアクタですが、自宅にある機材の中ではクーラーの次に大きな機材となりました。
説明書は特にありませんが、組み立てについては難しい点はありません。
組み立て部品は塩ビ(HI)管ですが、接着剤を着ける必要は無いと思いますし、バルブソケットにシールテープを巻く必要もなさそうです。
ここで重要なのは、Compact1000 の流量設定をどこで行うのかあらかじめ確かめておくことです。
いざサンプに入れてから、流量設定に困らないよう、事前に確認しておくとよいと思います。
ちなみに、水中ポンプを設置する方向には制限があるので、もしうまく設定できないようであれば自前で延長パーツなどを作る必要があるかもしれません。
小さな動物園-給水部
▲リアクターへの給水部。エーハイムのcompact1000では、水量を左手の親指のところにある薄い灰色のスライダを左右に移動させて調整する。


5) ZEOvit(ゼオライト鉱石)の投入と水流、水量の調整

次に、リアクタの中にZEOvit(ゼオライト鉱石)と活性炭を入れ、通水試験をします。
小さな動物園-サンプ
▲サンプ内に設置されたZEOvitリアクタ

Okであれば、流量を調整します。
商品であるZEOvit 1リットルは約1160グラムのようです。
マニュアルによれば、高栄養塩の水槽には飼育水600リットルで1リットルのZEOvitを使うことになります。
うちの水槽は200リットル弱ですので、計算すると333ミリリットルのZEOvitが必要だ、ということです。333となると微妙なところですが、1160グラム(ゼオライト鉱石1リットル)を3(200リットル×3)で割れば、おおむね386グラムのゼオライト鉱石が必要ということになります。
一口にゼオライト鉱石といっても、ZEOvitには3種類のゼオライト鉱石がミックスして入れてあるそうなので、種類が偏ることのないように取り出します。袋を3つ用意して、初めから3等分しておくのが良いかもしれません。
また、リアクタに入れる前にRO/DI水で軽くすすぎます。
小さな動物園-洗う
▲ゼオライトを洗う。

水量は、リアクタの排水口に計量カップを置いておき、10秒程度リアクタを動かして計量します。
マニュアルでは「リアクター内の循環水量は200-230リットル/hに対して1リットルのZEOvit」おとありますが、英語のマニュアルを読むと、「1リットルのゼオビットに対して、リアクタ内の循環水量は200-230リットル/h」だということがわかります。
うちでは0.3リットルのゼオビットを使っていますから、適正水量は10秒あたり640ミリリットルということになります。
しかし、エーハイムの compact1000 だと一番最低水量でもこの値を超えますので、最低水量に設定しておきます。

6) 運用計画

一番大事なのは運用計画です。
添加物によって、添加期間、添加量、交換時期など細かく定められています。
これらをすべて覚えるのは大変ですから、Excelなどを使ってカレンダーを作っておくのも良いかと思います。
また、アクアトロニカのAgenda機能(スケジュール機能)を使うのも手です。
いずれにしても、今までの添加剤よりも使い方が細かく指示されているので、それを守れるように皆さんで決めておくと良いと思います。
表の例は、できあがり次第ご紹介したいと思います。