うちの水槽では、一日約2リットル程度の水分が蒸発しています。
足し水を行うことで海水の比重を1.023近辺に保つことは重要ですが、ゴールデンウィークのような長期休暇で留守にする場合、いかに蒸発を防ぐかということが重要になります。
比重が低くなるよりも、高くなってゆくほうがサンゴや魚への影響は少ないので、数日分の蒸発であればさほど問題にはなりませんが、これが一週間続くとなると問題が出てきます。
ところで、アクアトロニカでは、オプションのひとつとして濃度センサーが準備されています。この濃度センサーは非常に高精度で、小数点以下4桁台まで正確に比重を計ることができます。また、比重の変化に合わせて特定の機械を操作することも可能です。
今回は、この機能と多少の工作で自動給水機を作ってみたいと思います。
給水機の仕様として、ポンプでなく電磁弁を使った給水機にしたいと思います。
電磁弁方式だとタンクを給水先より高い位置におかなければならず不便なことも多いですが、ポンプ方式だと、タンクが空になったときの空転問題が発生します。両方のリスクを考えて、今回は電磁弁を用いることにしました。
用いた電磁弁は、CKDのAB21-02-2-Aという製品です。この製品は流体、気体、オイルのすべてを扱うことが可能です。
$小さな動物園-電磁弁
なお、この製品は水だと1MPaまで扱うことが可能です。1MPaだと、換算式によればざっと150psiなので、タンクでなくても浄水器のへの給水を直接操作することも可能です。
また、電源が投入されていない状態であれば弁は閉じていますので、停電時に不要な給水を行う危険性もありません。
オリフィスと呼ばれる、ポンプ内部の穴径は2mmです。
なお、接続可能コネクタとしてRc1/8が使えます。Rcとは、コネクタを接続するテーパーねじの規格です。Rcが雄ねじで、Rが雌ねじです。この規格に沿ったコネクタを選べば、さまざまな径の給水ポンプを接続することが可能です。
今回は、RO/DI浄水器、カルシウムリアクターでもよく使われる6mm用のコネクタ SMC の KQ2S06-02S を使いました。
なお、これらのパーツは通販でも購入可能です。
RSコンポーネンツという部品の通販会社がありますが、そこから購入可能です。
本来は法人対象の会社ですが、リテール向けの販売も行っているようです。
電磁弁はこのリンク、コネクタはこのリンクから参照してください。
電磁弁ですが、2140円と、想像したよりもかなり安く手に入りました。
将来Caセンサの販売がうわさされていますが、そうなればCaリアクタを自作することも可能かもしれませんね。
では、早速加工に入りたいと思います。
まずは貯水用のポリタンクを加工する必要があります。
穴をあけ、チューブを差し込むためのコネクタを取り付けます。
チューブ側はAGメールコネクタ3/8×2/1だったと思います。コネクタ側は呼び16Aのバブルソケットが利用可能です。
$小さな動物園-バルソケ
バルソケはホームセンターで入手可能ですが、AGメールコネクタは専門店でなければ購入できない可能性があります。
ポリタンクは飲料水用のタンクを使いました。
$小さな動物園-タンク
このタンクのよいところは、タンクの中に手を入れて加工できることです。
本来はタンクの中を清浄するための目的なのですが、穴あけ加工などにも便利です。
また、給水用の空気穴があるなど、細かい点に配慮が配られています。
$小さな動物園-穴
さて、ここで問題なのは、ポリタンクの素材がPE(ポリエチレン)ということです。
ポリエチレン素材は接着剤の容器にも使われているように、世の中のほとんどの接着剤が使えません。
当然、バスコークのようなシリコン系充填剤も使えません。
そこで、ソケットの両側にOリングをかませることで、防水加工を試みることにしました。
Oリングは、やや大きめのホームセンターであれば販売されていると思います。
$小さな動物園-Oリング
Oリングを装着したら、バルソケとコネクタを接続します。
ここまで完成したら、配管を行い、仮設置を行います。
RO水の注入場所は、ポンプの給水口付近など、流れの速いところに設置しました。
電磁弁は現時点で仮設置ですが、最終的にはキャビネット内に設置する予定です。
$小さな動物園-仮設置
これでハードウェア側の設置は終わりです。
あとはアクアトロニカの設定です。
$小さな動物園-標準画面
これは、通常の画面です。
ここで、Enterキーを押して設定画面に変更します。
設定画面から、Densityの項目を選択します。
$小さな動物園-濃度
次に、Densityの項目から、Programを選択します。
この項目を使うことによって、濃度センサの値に応じた各プラグの制御が行えます。
$小さな動物園-プログラム
新しいプログラムを設定する場合には、Insertを選びます。
$小さな動物園-インサート
詳しい条件設定は、以下の画面から行います。
$小さな動物園-プログラム詳細
各項目の意味は次のとおりです。
Ref.(リファレンス)は最終目標値だと考えてください。この場合、基準濃度を1.0230に設定している例です。
△Max.は、ポンプを動作させるための上方閾値(しきいちです。
ここでは0.0003としていますが、この場合塩分濃度が1.2033になったら動作を行うという意味になります。
△Min.は、ポンプを動作させるための下方閾値です。
ここでは0.00000としていますが、これは塩分濃度が1.0230になったら動作を行うという意味になります。
Max,値、Min値での器機の具体的な動作はPlugsメニューで行います。
$小さな動物園-動作設定
PU01という行は2つありますが、これは電源ユニットを意味しています。AからHは電源ユニットのプラグ名です。
上段のPU01は濃度がMax.値を超えたときの動作設定です。
Hの文字が反転し、上にDという文字が表示されていますが、これは「塩分濃度(D)が1.2033を超えたとき、プラグHをオンにする」という意味です。
下段は濃度がMin.値を下回ったときの動作設定です。
Hの文字がそのままで、上にDという文字が表示されていますが、これは「塩分濃度(D)が1.203
になったとき、プラグHをオフにするにする
」という意味です。
以上で設定は終了です。
あとは試運転だけです。
試運転の結果は上々で、期待通りの動作を行ってくれました。
あとは水槽、サンプの大きさ、またセンサの設置場所によって濃度変化の時間遅れが生じる可能性がありますので、そのあたりの微調整を行えば完了です。
同時に、電磁弁や注水ホースの固定なども行ってゆきたいと思います。