いよいよサンプの加工に取りかかります。
まずは、割合簡単な加工で済みそうな「堤防」の設置です。
濾過槽下部のパンチ穴から出た水は、一度堤防を越えてから調整室に入るように加工します。
ちなみに、オリジナルのサンプはこんな感じです。
小さな動物園-オリジナルサンプ
図:オリジナルサンプ

小さな動物園-オリジナルサンプ2
図:オリジナルサンプ(上から)
オリジナルのサンプは、なぜか濾過槽を通った水が汚泥の沈殿槽を通過して調整室に入るようになっています。
これでは、せっかくの汚泥を巻き上げてしまいます。
ちなみに、サンプはオルカの専用サンプを使っているのですが、なぜか一カ所エルボーが接続されています。
しかも、接合がアクリル溶接で接合されているので、ショップで加工したわけではなさそうです。
まずは、加工に必要な道具を紹介します。
小さな動物園-差し金
図:差し金

差し金です。大工さんが使うあの道具です。
直角を取れるだけではなく、1枚の板をn等分したいときにも役立ちます。
差し金に見える黒い部分はビニールテープです。
アクリルを加工するときは、板と設置する面にビニールテープを貼ることで、定規が横滑りするのを防ぎます。
アクリル板を加工する際は、結構良く定規がすべるのですが、この手法はかなり有効です。
小さな動物園-Pカッター
図:Pカッター

Pカッターです。
アクリルを始めとする樹脂系の板を切断するときに使います。アルミ板でも2ミリ厚くらいまでなら加工できると思います。
普通のカッターとの違いは、「溝がV字型になる」ことです。もちろん、カッターでもV字型になりますが、あまり深く掘れません。それに対してPカッターは綺麗に掘ることが出来ます。
板厚の1/3から半分くらいまで溝を掘ったら、机に板を固定し、いらない部分を机からはみ出させ、その部分を強く叩きます。すると残りの部分も綺麗に切断出来ます。
ちなみに、Pカッターの内側にある丸みのある部分は、切断後の面取り(バリや鋭い角の除去)に使います。
では、加工に移りましょう。
今回は職場の加工室を使わせてもらいました。
まず、サンプ内部の寸法を測った後、アクリル板を切断します。
通常、アクリル板には保護用の紙が貼ってありますので、それをつけたまま加工します。
小さな動物園-アクリル板加工
図:長方形に切断

切断したら、底の部分を3ミリほど切断します。
サンプの底は補強のため、3ミリのアクリル板が裏打ちされていますが、それと干渉しないようにするための加工です。
この加工は丸鋸を使って行いましたが、もちろんPカッターでも可能です。
小さな動物園-角加工
図:角加工
加工を済ませ、板が無理なくサンプに収まることを確認したらいよいよ接合です。
接合にはアクリル専用接着剤を使いますが、この接着剤はアクリル板を溶かすことによって接着しますので、失敗は許されません。
もし、斜めに板を取り付けてしまうと、底板(パンチング板)を戻すことが出来なくなってしまいます。
そこで、マスキングテープなど、跡が残らないテープを使って基準線を引きます。
マジックテープで引いても良いと思います。マジックテープなら、アクリル板を傷つけないアルコールで消すことが可能です。
小さな動物園-目印
図:目印
目印に沿って板を置いたら、接着剤を流し込みます。
アクリル用の接着剤は、普通の接着剤と異なり、「流し込んで」接着します。
つまり、毛細管現象を使って接着するのです。
最初は数ヶ所だけスポット的に接着し、問題がなければ全体にまんべんなく流し込みます。
また、接着後は三角形のアクリル板を接着面に再接着することで、強度を高めます。
小さな動物園-加工完了
図:加工完了

加工が完了した状態です。
濾過槽を通った水は一度堤防を越えて調整室に入ります。
小さな動物園-加工完了-上から
図:上から

上からみたらこんな感じです。
あとは、今回の接合部にシリコン系防水シーリングを施せば完成です。
さて、次は難度が高い「ウールボックスのかさ上げ」に挑戦します!