今日は久々にクラシックのコンサートを聴きに行ってきました。
「プラハ交響楽団&千住真理子」の組合せ。
指揮は当初イルジ・コウト氏だったのですが、急病とかでズデニェク・マーカル氏。
指揮者としてはあまり有名ではない(と思うのですが)、のだめカンタービレの「ヴィエラ先生役」をやった方です。
2階席からの聴いたのですが、いま調べてみるまでまったく気づきませんでした。ちょっと後悔。
以前プラハに行ったときは、マーカル氏のポスターにすぐ気づいたのに、小指くらいになると全くわかりませんでした。デュトワくらいの大男だとわかるんですけどね。
やっぱオペラグラス必須かな。オペラグラスというくらいだし。
さて、曲目には変更なく、次の3曲が演奏されました。
スメタナ:「我が祖国」より「モルダウ」
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 K219
ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 「新世界より」
ところで、プラハ交響楽団の演奏は是非一度聴いてみたいと思っていました。
それは、出張で2度もプラハに行く機会があったのに、夏のオフシーズン(ウィーンも、プラハも、夏は演奏会をやらない)の出張だったため本場で聴く機会が無かったのです。ウィーンの学友協会も、プラハのドボルザークホールも外から見る機会はあったのに、演奏は聴けなかったのです。
それが今回我が町にやってくるとなると、多少の金は叩いてでも聞きにゆきます!
ただ、イルジ・コウト氏で無かったのは残念。
では、一曲ずつ素人講評したいと思います。
スメタナ:「我が祖国」より「モルダウ」

曲のタイトルは知らないと言うひとはいても、メロディーは知らないという人はいないくらい有名な曲ですね。
本当は「連作交響詩」ということで6曲構成になっており、「プラハの春音楽祭」では冒頭で全曲通しの演奏が行われます(イルジ・コウト氏とチェコ響による指揮はBS放送で見たことがあります)。
ちなみに、「モルダウ」というのはドイツ語での川の名前で、チェコ語では「ヴルタヴァ」というのが正式名称です。まぁ、あのあたりは何百年も昔から潮の満ち引きのように国境が変わっていますから、一般的に「モルダウ」と呼ばれるのは仕方がないかもしれませんね。
さて演奏ですが、出だしのフルートによる「モルダウの源」のフレーズは緊張の一瞬であるにもかかわらず、丁寧な滑り出しだったと思います。ただ、二人のフルートの音色がかけ離れすぎていて、ちょっと違和感を感じました。
続いておなじみの主題が奏でられます。
多くの指揮者が一連の主題を大きな固まりとして演奏するのに対して、マーカル氏の演奏は割合スコアに忠実に演奏しているように思われました。つまり、スラーで繋がっていない部分はそれを意識した演奏になっている、ということです。しかし、全体としては音の広がりがコンパクトに(あたかも一点から広がるような感じで)演奏されていたのは好印象です。
川の流れは徐々に激しくなるように、演奏も盛り上がってきたり、狩人のラッパの音が入ったりするのですが、そこで重要な役を担うホルンがやや力不足に感じました。
ホルンの位置からホールの反響盤までやや遠いので、そう聞こえたのかもしれません。
中盤の、バイオリンとフルートによる「水の精の踊り」の部分は良い感じでした。
フルートの音色は大変すばらしかったです。でも、二人の音色が違い過ぎるんですよね。
なので、ソロで聴く分にはどちらも好印象です。
さて、曲は再び激しさを増し(聖ヨハネの急流)、プラハ中心街へ流れ込んでゆくのですが、やはりここもホルンの力不足を感じられずにはいられませんでした。トランペット、ホルン、テューバは良く鳴っているんですが、中音域のホルンが聞こえないのでやはり物足りないんですよね。一番のクライマックスで、しかも「ヴィシェフラッド(高い城)」は連作曲にもあるフレーズの再現で最大のクライマックスだけに、残念でなりませんでした。
ちなみに、ヴィシェフラッドと呼ばれる城はチェコの至る所にあるのですが、この曲でいうヴィシェフラッドは「プラハ城(プラツキーフラッド、Praz’s’ky Flad)」のことを指す物だと思います。
$小さな動物園-プラハ城
ちなみに、上の写真はカレル橋からみたプラハ城とヴルタヴァ川です。
一眼でとったもっと綺麗な写真があるんですが、見あたらないのでとりあえずコンパクトカメラの写真をどうぞ。
さて、曲はプラハ市内を通りエルベ川へと合流します。
曲は主題を繰り返しつつデクレッシェンドし、ヴァイオリンのか細い長音ではるか彼方に流れゆく川の様子を描いているのですが、このあたりはあっさりと演奏する人が多い中、マーカル氏は一音いちおん丁寧に演奏していました。
主題はスコアに忠実に演奏していましたが、最後はスコアの指示(スラー)には従わず、むしろ音を丁寧に響かせることに主眼を置いているようにも思えました。
もちろん、フォルテとスフォルァンドによる最後の2音はびしっときまっていました。
最初は意表を突かれた感じの演奏でしたが、こうやって色々な指揮者、楽団の曲を聞き比べることは大変興味深いことだと思います(ちなみに、ローマ三部作は13枚くらい持ってます)。また、生音で聴くとCDでは気づかなかったちょっとしたフレーズやオブリガード(対旋律)が聞こえたりしておもしろいものです。
周りにいた聴衆(ほとんどお歳を召した方)も満足されていた様子でした。
せっかくですので、プラハ情報を2つほど。
一つめは、プラハの交通です。
プラハ市内は路面電車が非常に発達しており、また1日券なども充実しているので、6時間くらいあれば最低限の見所(プラハ城、カレル橋、市民会館(ヌドルフィヌム)、メインストリート)を見て回ることが可能です。なので、たとえばウィーン旅行の際、1日をプラハ観光に充てることも充分可能です。
ウィーンからプラハまで4時間の旅ですが、途中の風景は日本では見られないすばらしい風景の連続ですので、決して飽きないと思います。朝一番の電車(ウィーン6時発)でプラハに行き、17時頃の電車でもどってくることが可能だと思います。運賃は往復で1万円ちょっとだったと思いますが、日本でフリーパスを買っておくのもよいかと思います。
チェコは、「いかにも古きヨーロッパ」というイメージで、ロンドン、パリやオーストリアに不満を感じた人でも充分満足できる街並みです(バルセロナでも同じ印象を受けますよ)。
$小さな動物園-プラハ城からの眺め
ちなみに、上の写真はプラハ城からの眺めです。
もっと見たい人はリクエストしてください。
プラハ情報二点目は、「スリに要注意」と言うことです。
旅行前、情報集めに在日チェコ大使館に行きましたが、大使館員もそう行っていました。
まぁ、個人的にはバルセロナに比べると全然たいしたこと無いと思いますが、同僚が危うく財布をすられる所でした。警察官の目の前で、しかもウェストポーチに入れていたのに(個人的にはウェストポーチ嫌いです)。
でも、スリに注意することはどこの国でも同じですので、それなりの警戒をしておけば充分だと思います。
あ、あと靴選びは慎重にしてくださいね。
プラハは柔らかいアスファルト作りの日本とは違い、道はほとんど石畳なので、普通の靴で行くと間違いなく足を痛めます。
ヒールのある靴だと折れてしまう可能性もあります。
なので、プラハ観光の時は足下に優しい靴を選ばれることをお勧めします。
さて、時間も遅いので続きは明日かきます。